2015/04/25

エスプリ

ウチの大事なお客さんからお題が出た。
カッコいいバイクを一つ・・予算はノーリミット

さて。。60歳代のこのお客さんに何を作るか。 自分がその歳になったときどんな自分だったらカッコいいのか想像してみた。

<60代になっときの妄想>
仕事もピークを過ぎ趣味程度にチャリを作る。ときどき近所を乗り回すがモーターバイクを乗る機会が増える。青春時代のVERONAに行くが世話になった人たちはもう逝ってしまって行こうと思わなくなる。本場のパスタより奥さんと行く近所のイタメシがちょうどいい。30年前にミラノで買った派手なシャツも歳が行き負けない風格がでる。チビが巣立ち奥さんと一泊程度の小旅行に行くようになる。もう自宅改装の資材を運ばなくて良いのでトラックを手放し、オープンカーを買う・・・


そうだ! オープンカー だ。




この人と話していたら昔オープンカーが欲しかったと話していたような気がする。そんなイメージでバイクを作ってみたらどうだろう? 御年60の紳士に「カッコいい」を主張する過飾は必要無い。上質でさえあればそれがまとう「美しさ」でほのかに香る格好良さを狙う。ツイードのジャケットを羽織った紳士からオーデコロンがほのかに香るアレである。決してロゴがいっぱいのレーシングカーではなく無印のロードスターが似合う。






ZULLOチタンフレーム : 90年代東西冷戦が終わりそれまで軍需専用だったチタン素材が一般的に使われるようになった。当時プロツールに供給していたZULLO氏、選手からのリクエストで山岳ステージ用軽量バイクとして製造した。ソビエトから取り寄せたチューブで作ったフレームはあまりに軽くできてしまいUCI規定をパスできず出走不可。それはレース用試作フレームであって「危なっかしくてだれも乗りたがらねぇ・・」とその後工房でホコリをかぶって20数年。まるで”紅の豚”の飛行艇である。

ホイール : これもZULLO工房オリジナル。スポークの固定方式がユニークでフロントホイールのラジアル組みは普通だが、なんとリヤもスポークがクロスしないオールラジアルで組まれている。これも90年代にZULLO氏が作ったユニークな構造のハブで当時のシマノ8Sボディー。シマノは8S-10Sまで互換性があるのでこれに10Sを入れてある。タイヤは25Cで快適性アップ。ポンプアップの回数を減らして空気入れ忘れてもパンクしにくいだろうと”ちょっ太め”




駆動系 : さすがにシングルスピードはこの紳士にはキツイ。リヤのみの10Sを使ってフロントをシングルギヤに変更 溶接されていたFD台座は削り落とした。ただし、そこは紳士仕様なのでチェーンリングガードでパンツの裾をギヤに食われるのを防ぐ。このリングガード、既存のものはデザインが野暮ったい。ここはもともとのアウターリングを加工、歯を取り去ったものを用意した。

ハンドル : アイキャッチになる木製のハンドルバーはイタリアGHISALLO製のカーボンハイブリッドバーで振動をかなり軽減してくれる。ここはしっかりとレーシングバイクではないところをアピールする。クルマで例えるならコーナリング性能のためにショックで足回りを固めるのではなく快適性を重視したノーマルショックを選択するようなもの。ちなみに”ニギリ”が無いのはショックを十分吸収できると踏んだから。しかもこの紳士、蕎麦打ちの達人で麺棒をいつも握っているので違和感はないだろう。

ステム : ロードフレームにドロップバーで確保するライダースペース(ハンドルからサドルまでのスペース)はこのベンドバックする木製バーでは確保できないので125mmという長めのステムでスペースを補った。ステムは往年の名品、3tttトップモデル”RECORD84”アルミ鍛造ステムで細身だが鍛造品なのでしっかりしている。

シート : ブルックスの本革を行こうかと思ったがかなり使い込まないと“痛い”。快適を主眼に置くとこの天然ゴムのハンモック構造である”カンビウム”がぴったりだ。またシートピラーは昨今珍しくなった26.8mm径で種類も限られるので”TOMTHON”を採用したが”TOMTHON”ロゴがアメリカンを主張する・・アルマイトでブラックにしてこの”アメコー”を黙らした。

革巻き : ウチの工房のある長野県は伊那谷、ちょっと南に下ると“駒ヶ根”とか“飯田”なんてとこがある。そこに革の工房がたくさんあって今でも国産高級車の革ハンドルや革シートを作ってるって教えてもらった。そこに出入りしてる仲間に頼んでハンドル職人に革を巻いてもらった。ステッチの色を変えてそれを見せることも可能だが、そこは”紳士仕様車”だからステッチも同色に近い色で見えない位置に配置する。部分的な主張を抑え全体のまとまりを優先した。 革にあるマークは次回 色無しの”型押し”にしようとおもう。


ESPRIT

重量 ; チタンフレーム+フロント変速機がないので ”すんげぇ軽い” 

え? 何グラムかって? >> こちら





こんな感じのジャケットとか・・
あ、これ オーピンカーには必須ね

洒落がわかる紳士にこの ZULLO [ ESPRIT ] エスプリ のススメでした

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オレも洒落のわかるそんな紳士になりた〜い・・・ 妄想しよっと。


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