2012/02/23

サボテン

FICO D'INDIA(ウィキ:イタリア語)
サボテンの実で食べると美味い
南イタリアでは至る所で自生する
この実が売られていたりする
さすがはサボテン、表にはトゲがいっぱい
しかもこれが皮膚に着くと超カユイ。

さて、本国ZULLO工房でテストベースで上がったプロトタイプフレームの写真が送られて来た。PANTAREI・パンタレイ のシングルスピード版。 去年、(団体)シングルスピード・イタリーから依頼されリヤエンドをウチで設計。
後から入れるタイプで変速機も付ける設計
チェーン引きは見た目NGなんでホイールセンタリング機構も組み込んだ
もとの設計は木製自転車用のリヤエンドだったりする
ステンレス削りだしでホイール位置も出しやすい設計で
シングルスピードPANTAREIが試作された


プロトが出来たんだが、どうせならとキワドいグラフィックも乗せてみた。。。らしい
(色の選択はオレじゃないよ・・オレ的にはちょっとキツイかな)

着色は新入り、娘ムコのマテオ君が担当
まさにフィッキ・インディア!
ちょっとポップすぎへん?

世の中11段変速になってるというのに、この団体は変速機を取り去りレースを開催する。確かにその昔、ツール・ド・フランスだって変速機の使用は禁止されていた。曰く、押す=押して坂を歩いて上がる、漕ぐ=平地で自転車を漕ぐ、下る=自転車は勝手に進んでいく ということで3段変速なんだよ と。 たしかに自転車は不便なノリモノ、その不便さがおもしろいワケだから、さらに不便にすればもっとおもろいと言うのには納得がいく。

オレも日本人で初めて彼らの主催するヨーロッパ選手権に出場した
ーなんて言うと凄そうだけど、実はお遊びに毛が生えた程度でヨーロッパ各地からこの変態な人たちの集まりで、ヤマの中のシングルトラックを使った半分以上「押し」のコースだった。しかしどうだろう、変速機や歯数で悩まないってなんとラクなことか・・坂は押すしかないので、潔く下りて駆け上がる。頂上付近はペダルを踏んで下りはもう度胸に頼るのみ。変速機がないと言うことはチェーンが暴れることもなく、駆動系のトラブルも皆無。 コレはある意味アタリだとおもった数年前。 その団体も今や200名を超えますます大きくなっている。ZULLO工房も彼らの変態さに付き合うわけだが、だんだんと引きずり込まれていく。先日は工房の主催で近所のブドウ畑でレースを催したりした。いま彼から依頼されるのはシクロクロス・シングルスピードで設計を詰めている最中だ。

シマノが11速化する傍ら、こういう人たちもいるのだ。
ー多段化へのチクチクはまた今度ね。
(続く)



2012/02/22

ポキン

硬派なZULLOの中でも、もっとも硬派で伝統のモデル VINTAGE
73年からずっと作ってきたモデルだけあってなんかこう背筋が伸びる気がするフレーム。
先日、納車してんけど 渋いグラフィック。クロにシルバーのピスストライプときたら硬派度がさらにアップして「ウールジャージ」じゃないと乗れません!って感じに。

さて、カンパリヤエンドが現在でも装備されるこのモデル
ペイントを担当してるんやけど・・塗った後は・・ホラ、小物を付けんとイカン。
中でもこの時代のリヤエンドにはホイールのセンターを決める小さなネジが付いてる。
もちろんメッキする際も塗装する際も装着されてないのは昔を知る自転車屋さんなら皆知ってる話。溶接、メッキ、塗装の全てが終わり・・ 鎮座するフレーム。

この小さなネジを入れてやらねばならない。 が、厚み8mmのカンパ鍛造のエンドに深さ14mmの小さなネジ穴が空いている・・しかも これが M3 という大きさのネジで直径3mm、穴自体は2.3mmしかない。分厚いメッキが穴の中まで付いてるから結構狭いときたもんだ。

タップという雌ねじの山を作る刃物の出番やけど。。細い!
タップ、筋の入ったネジやね
これでムリヤリ穴を広げるねん
もちろん、途中で折れるとサイテーなことに・・(経験有り)
ほぼ根本までタップを入れてやっとアタマが出てくる
このときにクシャミでもしようもんなら・・
ポ キ ン やで

だいたい、この硬い母材に M3 のねじ穴を手で掘っていくというのはあまりにリスキーや。
この仕事はいつも背中に冷や汗がたら〜 とする 背筋を伸ばして、深呼吸して、誰も周りにいないことを確認してから始める。 当たり前だが電話にも絶対に出えへんで。

ポキンするとどうなるか?

・・塗装はおろか、フレームがパー だったりする。ポキンしたらココロも折れるのだ。
対処はエンドを加熱して交換する以外ないのだがシートステーが薄いので再加熱による組成変化であぶってる最中にクラックが入ることが多いだ。 基本的にはこんな細いタップの救出はかなり難しいねん。折れる位置にも寄るけど、M3は抜き出すためのエキストラクタという工具もうまく働かないんで、ポキンしたら家に帰って3〜4日寝込むしかない。もちろんそんなときはポキンしたヤツに近づかない、そっとしとくのがキマリ。

ネジとスプリングをホイール側から入れていく
マイナスドライバーが時代を感じさせる
タップが通ったら、ネジを入れるけど、回りは全て塗装済みで超仕上がり状態。工具で傷を入れないように慎重に作業を進める。まだ気が抜けない・・
メクラローレットナットを入れて絞めコロシ
しっかり締めておかないとナットだけがポロッ
完成。ふぅ〜
でももう片方もあるよん。
ゲッ
少々センターが狂ったホイールでもこのおかげでフレームのセンターに車輪が装着できる。
が、しかし レース中にこれを調整するとは思えない。しかもこの水平に車輪が移動するタイプのエンドはホイール前方に障害物、特にシートチューブがあると車輪が取り出せないので車長が短くなってくる90年代以降使われることが少なくなったタイプの部品。

しかし今のカンパニョーロが始めた変速システム、彼らは変速機だけをデザインしたのではなくこのようなフレーム部品も設計し製造した。この形があったからこそ今の変速機があるとも言える。 イタリアン・クラシック と言えばやっぱりコレか。。

そやけど、このM3ネジはイタリアのどのビルダーに聞いても寝込んだ話を聞いた。
「昔はあのカンパの調整ネジがねぇ〜」とCASATIのジャンルイージ、ピナレロ下請け時代のPEGORETTIダリオ、DeRosaのウーゴ、そしてZULLOのティツィアーノ・・みんなこのカンパのエンドの洗礼を受けてきたのだ。
ジェントルマンなバイクを作るにはこれを乗り越えなアカンのやろな。


逆にこの話で食いついてこないのは実際に生産していないブランドだったり、下請けに作らせていたところだったりする。
本当の職人はおもてからは意外と見えないものである。



2012/02/09

650C考

身体からサイズを割り出す作業をしてて思う。。

ほとんどの日本人にはこの700cというサイズは大きすぎるじゃないか? サイズオーダーなのに車輪が固定ではその設計の幅が極端に少ないねん。

フレームサイズって股下からサドル高がでる、シートピラーをどれだけ出すかでフレーム高さが決まる。ここまでは良いとしよう。 530mmを切るトップ長さでヘッド角72度をキープするとコレ、車輪がつま先に当たるねん。 で、普通大手メーカーがするのはヘッド寝かせて70度とかで作ってまう。車輪がセンターに寄らないからそれ以外に方法は無いんでシート角を立ててヘッド寝かすことでトップを詰めていく。 が、し か し。 ウチの工房じゃ絶対に72度以下にヘッドを寝かさない、そんなことしたら親方から金槌が飛んでくる! と言うぐらいタブーな感じ。 それはヘッドを寝かすことで操縦性(guidabilita')がすこぶる悪くなりカーブで曲がらない、反応の鈍いマシンになると言う。 極端な話コメ屋の自転車みたいになる。

なら、どうするか・・ つま先が当たるのを覚悟してヘッド角をそのまま72度をキープして詰める か もう一つは車輪を小さくする という方法がある。
その車輪を小さくする、通常700cというサイズの車輪を650Cにするとスモールサイズでも自然なポジションが取れる。 ヘッドも楽々72度をキープできてしかもハンドルを低くできる。 よく見るのは700cで無理矢理小さく設計したフレームは大きな車輪のためハンドルがサドルに対してほとんど低く取れず、ドロップバーを付けているにもかかわらずまるでポジションはシティーサイクル。 通常、700cでレースに出るクラスのひとは7cmぐらいの差がある(サドルがハンドルに比べて7cmぐらい高い)ツーリングで4〜5cm、背筋の少ない年配のサイクリストで2〜3cmというところだろう。 しかし、スモールサイズで700cだとこれが取れない。これではオオカミの皮を被った羊やん。。 

ソコを650Cにするとこれが大きく改善されるねん。
で、
身長150cm 股下70cm のお客さんに650Cのチタンバイクを作ってみた

奥が700C、手前650C
ヘッドも犠牲にせず、シートも極端に立てず
700cの操縦性をそのままに、寸法だけを小さくした感じ
TOP 500mm H430mm


無理なくトップ長500mmを実現、しかもサドルピラーはカッコ良く出るし、ハンドルもしっかり下がる。ヘッドチューブも120mmとしっかりコラムをつかめるので安定する。
唯一の弱点であるBBハイトも165mmクランクを入れることを前提にして落として安定させる。 と良いことづくめ・・と思いきや、タイヤが結構無かったり、チューブが無かったり、リムが大手メーカーから出てなかったり・・と車輪系の部品が少ないが無いことは無い。 
(こないだアラヤさんにリムを作ってくれと言ったら売れないから作らないと言われてしまった。) 市場からオレの欲しいモノがどんどんなくなっていってしまうのはどうして?

結論、480mm以下(股下73cm以下)は650Cがオススメ
小さいサイズでお困りの方、是非ご相談ください。

650C対応車種(フォークは700cのものと形状が変わります)
ZULLO:TONICA・PANTAREI
NEVI:CLASSIC・GRIMUSELL
完成車での納品も可

 

チョーゴーキン2

先日紹介したNEVI PICCOLA20(ピッコラ20)
超合金!マチ乗り仕様


さっき撮影が終わたんでアップしました

詳細スライドショー

2012/02/01

RECOハブ再び

前回即売り切れになったRecord10Vハブが ちょこっとだけ本国より再入荷しました
今回は箱ナシ・取説ナシです
クイック、スプロケロックリングなんかはもちろん付いてます
前後セット32Hで11速に対応します ¥42,000 税込み送料込み
御注文はこちらまで