2013/02/19

ソレデモ11

リムの組み立てで毎回思うこと。。

前輪の加重はライダー80kg+チャリ10kgの4割 =36kg
後輪の加重は              6割 =54kg

ぐらいあるとアタマに入れておこう。

そこで一考
前輪は昔から100mm幅で今も変わらない。しかし後輪は110mm(NJS規格)から120mm、126mm、130mm(現ロード)、135mm(主MTB)など。。
コレって、多段変速の結果右側フランジが中心へ押されてきてる歴史やん?

多段化の過程でリヤフランジ間がどんどん狭くなっている。
本来なら、左右に広がるフランジに引っ張られてリムが左右にブレない強さを発揮するはずだが、現在はその間隔が狭く左右フランジ間を三角形の底辺と考えるならその底辺がどんどん狭くなってしまい横方向の剛性はどんどんリムに頼らざるを得なくなってる。しかしタイヤ幅である25mmを越えられないのでその高さを増してリムの断面のヨコ方向の強さを確保している。




これは木製リムに限ったことではなく ホイール全般に言える話なのだ。フロントとリヤのハブとリムの関係はこのようになる。フロント側の三角形がしっかりしているのに比べて本来加重が多いリヤ側はフロントに比べて細い三角形を構成する。三角形の底辺(図中ではフランジ間の寸法)がホイールの強さに関係することがわかってもらえるだろうか?

さらに、リヤの右側フランジ(B')は多段フリーに押されて中心へ移動。それと呼応する左フランジは本来の(A)という位置に来るはず。しかし寄せられた(B')に対してバランスを取りリムをハブ全体の中心(C)という位置に固定しなくてはならないのでフランジが(B)の位置に設置される=リムを中心に持って来るための対処がフランジ(B)なのである。

(B)ー(B')を組むに当たりテンションの違いを利用する。Bのスポークはかなりユル:B'のスポークは「びんびん」になる。おなじテンションで組むとリムは(C)に来ないのである。

三角形を見てわかるとおり加重の大きなリヤ側ホイールの剛性はフロントに比べ落ちてしまうのである。


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さて、この問題は多段化するコンポーネントによって引き起こされる問題だが解決策が無いわけでもない。



1)リムをオフセットしてしまう=例)カンパニョーロなどがリム中心から左側へずれた位置にスポークをセットしている そうすることによってフランジ(A)を(B’)とバランスが取ることができて三角形の底辺が広がる




2)フレームを左右非対称にして変速機側に大きく張り出した形状にする。ペダリングする足に干渉する可能性はあるがこれもリヤホイールの剛性化、いや健全化を実現する一つの方法だろう。(ハブOLDに対してオフセットした位置にタイヤが来るので基準づくりが必要になる)


3)内装変速を使うとコレ、全て解決。 もっと素晴らしいのは変速機を取ってしまう!
自転車の素晴らしいのは必要最低限のシンプルさ。決して快適性を求めたノリモノではないという原点に立ち返り変速機を取ってしまう。(個人的にはコレが良いと思う)

総合して。。
 マジメにロードコンポに7Sをリリースして欲しい、5sでもいい。現代のほそ〜いチェーンを使ってナローなフリーボディーを作ってもらいたい。段数が少ない=下級グレード 的な考えはもう古いと思う。よく考えて欲しいんだけど、フレームやコンポに数グラムを軽量化する人々が多いが11速のなかの10枚のピニオンと1枚のチェーンリングはどんなときも使われてないんだよ。ホイールの性能を犠牲にして多段化することにフレーム屋として疑問を感じる。制動するブレーキがないのは問題だが、駆動システムのもっともシンプルなカタチとしてピストのニーチャンたちだって単速であれだけ走ってるんだから可能でしょ。

変速システムは駆動にチェーンを使っている以上今後もおおきなブレークスルーが無いのだろうか? 11の次は12? そんな段数おいらは必要ないね。

●ワイドレシオ快適11速にアンバランスな「よわっちい」ホイール
●非常にしんどい変速ナシにバランスの取れた「つおい」ホイール
どっちがいい?



6 件のコメント:

  1. はじめまして。
    お説ごもっともです。丈夫で長持ちするホイールがいいです。
    ところで、画像の木リムはエンド幅ミリでお組みですか?
    自分がロードに乗り始めたころは、桃谷の老舗でまだ木リムのホイールが売られていましたが、110や120㎜の昔ならともかく、いまのロードの規格では厳しいでしょうね。たかが数㎜ですけど、されど数㎜ですから。
    7Sのコンポですが、昨年あたりから120㎜用のカセットハブがSE社と京都のショップから出ています。どちらも製造メーカは同じトコみたいです。これにS社の7S用の歯と間座を使って組めば6Sで組め、9S用を使えば7Sが組めます。前者はチェーンも丈夫なのが使えるのでお得ですね。最新(10~11S用)のデュアルコントロールレバーが使えないのが玉にきずですが、そこはまぁしゃーないですかね。

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  2. なるほど、スポークの張り方参考になりました。わたしのtonica-spはフレームが対称なので、B'側のテンションが高いわけですね。今触って来ましたが、確かのその通りでした。
    実際に自転車に乗っていると10速は使いきっていませんので、バランスを考えると、9速とか7速で充分です。周囲にいる自転車乗りで古いシマノコンポ(枚数の少ない)に拘る人がいますが、なるべく少ないギア枚数には、このような合理的な理由があったのでしょう。今回は、見栄でduraに統一していただいたところもありますが、安価なシリーズでも合理性から少ない枚数を選ぶという選択肢もあるんですね。究極はシングルか内装でしょうが、ワタクシ的にはデュアル・コントロールレバーのカチカチ変速するメカニカル感が、その利便性ともに気に入っております^^;。

    p.s.それから,このブログはイタリアのものなんですね^^。

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  3. 画像の木リムは現ロードエンド130mmでかなりのオチョコをとらなければいけません。剛性の低い木リムをくむ場合は右をテンションいっぱいまであげて左をそれにあわせてテンションがギリギリかかるぐらいでユルい状態です。木リムでなくてもそのテンション差は同じことでこれがリアホイールの剛性不足を招いています。10速ぐらいからそのカセットの占めるスペースが大きくなりすぎてホイールとしての構造が犠牲になっていると思います。その大事な部分を犠牲にして付加価値である変則段数、電動シフトなどは納得がいきません。多機能=高付加価値 ではないと思うのです。そのことは昨今のいろいろな製品に当てはまることだと思います。例えば、エアコンのない車よりついてる方がイイけどオンにすると時速40kmでしか走らなければ必要ありません。そもそも自転車は不便な乗り物、決して移動を快適にするものではないのです。なぜ人を魅了するかと言えば操縦することが出来るようになる喜びや、クルマで行けば近くてもソコに自力で漕いで到達する達成感です。その意味では電動シフトはその喜びを奪うものだと思います。レースシーンで耐久性を犠牲にしてもその1レースの勝利を優先する特殊な事例の場合はその限りではないですが私も含め、皆さんだってそうではありませんので設計理念が違います。イタリアC社のツール用フレームを作っていたことがあるのですが「プロ」のおかれている環境と「サイクリスト」の条件とは違うものです。「プロ」が使っている#$%!は私たちには楽しみを奪う無用の長物になる可能性があるということ。(そもそも今のプロに機材の選択する自由なんてありませんが)メカニカル、最高です。Di2で組まれたマシンを試しましたが慣れてくると「すごい」が「つまらない」に変化していきました。だから私は電動シフトの自転車に興味がありません。業界の方々は「マーケットがね。。。」といいますが、100%ユーザー主導のマーケットになったら「電動アシストロード」でいっぱいになるんじゃないでしょうか? 私はプロとしてマーケットに本当に良いものをプロの眼でみて勧められるもの紹介していきたいと思ってます。 次の自転車は変速ナシのシングルでいきたいと思います。 =昨日、アトリエに来られた”スカラバイク”さんと意気投合

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  4. ももだに! 行きましたよ、私も。懐かしいです。。。 トモダさんの手前ですね
    おととい木リムのギサッロさんと電話して左右比対称の後輪用リムが作れないか打診しました
    その振動吸収性はほんと絶品ですからね。耐久性の高い今の多段ハブにマッチする横剛性の高い非対称リムを一緒に開発していかなくてはなりませんね。(そういう意味ではカンパの着眼点はいつもながらイケてるとおもう)
    そう、自転車って左右比対称(ギヤが右についてる)だからべつにリムだって非対称でokやん。

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  5. はじめまして。いつも楽しい記事をありがとうございます。私は時々こう思います。
    チェーンステイ外側にドライブスプロケットがあるように
    チェーンステイ外側にドリブンスプロケットをオフセットするフレームがあっても良いのではと。
    (シートステイだけ通常位置というバージョンの発生もできそうです)
    そのようなフレームならば内装+ベルトドライブの選択もし易く便利な気がします。
    フレーム屋さんと轂屋さんの双方の開発ありきですが。

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    1. チェーンを跨ぐフレーム、この跨ぐ部分をやめていっそ外に放り出してしまえ! ということですね。
      賛成! とくにシクロや太いタイヤを履くチャリンコにはそりゃ、効果抜群です。リヤタイヤとチェーンステーが重なる右側はシクロではツブシまくって剛性が確保できない上に最近はQファクターを抑えたクランクがおおく、さらにクランク厚みがカーボンなので太くフレームの領域が少なくて剛性が確保できませんで困っています。
      右側だけエレベーテッドにしたいぐらい・・それを一歩進めて HONDAのプロアーム ですね!
      うん、行けるかも。。。.

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