2011/10/01

29ないなぁ〜

普段フレームを設計する傍ら、29インチの可能性を考えた。
ZULLOにいたときクロモリで29インチを作ったがライダーは190cm
しかもガイジンだから足が長い! 彼はその後INQUBOというロードモデルを購入してくれたが、そのサイズは610mmもあった。

実は600ミリを超えるシートチューブは特別にパイプメーカーに頼まないと通常はリリースされてない。そのパイプ長さだけが違うのかというと実は肉厚も違う。
溶接箇所は肉厚0.8 センターで0.5 シートピラー部で0.8
なんだけどこの中央部分が0.6mmに変更され溶接部分の0.8が長い。外からじゃわからないけどサイズが大きくなると言うことは乗っかるライダーもデカいと言うこと。 
さすがに彼ぐらいの大柄な人には29インチは必要性を感じる。

しかし、どうだろう。日本人に29インチは要らないと思うのは私だけじゃない
確かにギャップの乗り越えなどタイヤ直径に搾って考えれば有利かも知れないが
取り回しが必要な日本のシングルトラックの多いオフロードで車長が伸びるのはかなりネガティブ要素だ。しかもハンドル位置が下がらず時々見る29インチはステムをひっくりがえしてポジションを確保している。そしてヘッドチューブ、その長い前足を固定する大事なヘッドチューブは10cmを切るものもある。コレじゃコラムやヘッドセットが持たないし前輪の受け止めるショックを支えきる剛性が完全に不足する。

もう一つ大事なことは、車輪がデカくなる>ホイールベースが伸びる>フレームが長くなる のでトリッキーなコースでは使いづらい。そこでフレームトップを縮めるともっと悪い結果になることがある。それをするとヘッドアングルが寝てしまうのだ。
これは日本のマーケットに溢れているスモールサイズフレームに見られるヘッドアングルが70度ぐらいのフレーム。コレはもうロードとは呼べない操作性の代物で格好はロードでもママチャリと同じ操作感。このことが29インチMTBでも起こってしまう。
ムリに大きな車輪を装着することに縛られて大事なヘッドアングルを犠牲にしてしまう、極端に言うとアメリカンチョッパーなバイクができる。

フレーム長さを短くする風潮があるようだが、そのことよりヘッドアングルを守ることの方が大事だとオッサンが言っていた。実際ZULLOもNEVIも絶対に72度以下のヘッドアングルでは作らないのだ。ハンドルが遠ければ短いステムを使いなさい、単純である。
それでも届かない場合は車輪を小さくしなさい(650c) ということだ。
幸いにもNITTOという素晴らしいハンドルメーカーが存在しているではないか?
と現地のマエストロたちは口を揃える。
(実際ヨーロッパでNITTOは品質の高さで名が通っているのは少し誇らしかった)


だいたい、私たちが思うアメリカ人ってルーツはドイツ系だったりアングロサクソンでしょ? 彼らの体格はアジアンなウチらとは全然違うんよ。(特にゲルマン系人種)
そんなもんが股下70の日本人に合うワケないやん。ほんでもってどこにフラットなオフロードがあるん?日本ではそんなとことっくの昔に舗装されてもうてると思うんやけどね

大きな車輪を入れる弊害となんだかおかしな日本の動向に久しぶりにマジメになってみた。

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