新聞を賑わすユーロ危機、現地に長期滞在したりイタリア人と仕事したひとならきっとそのおおもとの原因を知ってるはず。まず、ユーロを構成する各主要国の違いがものすごくある。住んでたVERONAから北へ高速で2時間、そこはオーストリア国境でもう美味いカフェは見当たらない。そんでもってイタリア語が通じない! 島国の日本にいると「そんなアホな」と思うけど、これホンマ。 同じ通貨を使うようになって10年、しかしながらその文化や歴史的背景、宗教や食いもんもまるで違う。そんな国々がよってたかってEUを形成してるんやけど、その文化の違い、大きくはひとの考え方違いが大きな国境になっている。 ギリシャの次はイタリアかスペインとささやかれているがなんかわかる気がする。だってコイツらラテンやもん。。人生を楽しむことに関しては爆発的な強さを発揮するその国民性もやはり経済を基盤とする国という単位では上手く動かない。楽しむってかなり個人プレーやろ。日本人から見ると自己中心的にならへんとでけへん楽しみ方っていっぱいあるヤン? それが彼らにはいとも簡単にできてしまうのだ(おまえも出来るやろと言っている人がいそうやけど・・)。
例えば実際に起きた工房の例を挙げると出荷の時にアタマを悩ませた国際輸送。
郵便局の窓口に行くとこれ月初めは長蛇の列、それは年金生活者が窓口に並び受給金を受け取りに並んでいる。なぜ並ばなくてはいけないか? 実際に口座振替にすることも可能なのだが人々は現金を手にするまで安心できないので窓口に並びひとりづつ1000ユーロ以上の現金を手にしてやっと受給された実感に浸る。その間、郵便局はパンク状態で私の持っていく発送品なんて構ってもくれない。箱ひとつ出すのに3時間ぐらい待たされるもんだからいつも読みかけの本をカバンに入れてた。なぜ、並ぶんだろう・・・
そしてやっと出荷した大事なフレームがお客さんの元に届かない。
紛失の疑いがあると郵便局で問い合わせし、その後 集荷所で偶然発見された。
フレームは無事だったが期日を3週間も過ぎて、しかもまだイタリア。コノヤローと罵声を浴びせたら局員は「オレはキチンと配送トラックにのせた」と一言も謝らない自己中心的回答。たしかに彼に非はないがそんなことはわかっている。非はその郵便システムをふくむ社会全体にあるのだ。そんな信頼の置けない社会、そりゃ並ぶわ。潰れるかもしれないとウワサの銀行に預金を引き出すひとが殺到するのと同じ原理で、いまでも郵便局は毎月この騒ぎ。ここでは一事が万事、この調子。
そんなお国柄、製造業が伸び悩み公務員が必要以上にいて、そのせいで法人税がおよそ60%で、消費税が21%、所得税に至っては55%もあるイタリア。全ての要素がネガティブにスパイラルし庶民はいつも脱税を考え税務署はその後を追うイタチごっこ。EU・ヨーロッパ連合という名の下ドイツやフランスと同じ集合体だけどその構造と国民性の差に問題がある。イタリアがドイツと同じ通貨を使っているということがなんだかおかしな気がする。人種による区別をしているのではなくて、文化的背景がまるで違うので同じラテン諸国とゲルマン諸国を同じEUでひとくくりにするのはムリがあると言ってる。イタリアでモノづくりをするというのは恐ろしく難しいのだ。
ラテン諸国のおかげで混乱のEU、破綻寸前のイタリア、その10年のうちベルルスコーニがほとんど大統領だった。アフリカで革命が起きた、対岸のイタリアの先行きが危ぶまれると彼はソソクサと舞台から下りて言った。
「オレはキチンと配送トラックにのせた」と。
イタリア公務員:TV局を所有した大統領もそうだったように、副業が認められているので絵描きが国鉄職員だったり役所の職員が弁護士だったりとかなりおかしい。なかでも税務署員は工房に来て自転車をねだったりして、そのあと全てのバックオーダーを止めて自転車を作ったことがある。代金をもらったかどうかは私は知らない。