この時期になると工房には時々古い自転車が持ち込まれる
季節が良くなってバカンスに持って行くんだろうか70~80年代のレーサーが毎年のようにメンテに入ってくる。ま、ウチの工房をしってるローカルのサイクリストたちやからかなりその筋のひとたち。だって表向き自転車工房とは書いてへんにもかかわらずやってくる。普通のひとではないお客が普通じゃない自転車を持ってくるのだ。今回はMALAGNINI/マラニーニ、1990年まで腕をふるったベネトの職人でウチのオッサンも彼から仕込まれたという。
丁寧な作りは見て取れるがフレームを見て変わったところがある。それはチェーンステーに24mmという大きな径のパイプを使ったこと。70年当時BBラグはチェーンステーは22mm丸しか入らなかった、TIG溶接はまだ一般的になっておらずティーノ・マラニーニはパイプを勘合部だけ22mmに細く絞ってラグとロウ付け、チェーンリングと干渉する部位は1.5mmを開けて外側から凹みを入れてある。ムム・・秀逸である。
パイプが丸でしかも24mmと大きいモンだからタイヤクリアランスは内側のツブシで確保し許される寸法を無駄なく使っている。これによってリヤ側の剛性が上がり踏むとレスポンスの良いフレームが出来るのである。そのコンセプトはTIG溶接フレームでウチのINQUBOや世界戦で供給したトラックフレームなんかがそのまま受け継いでるねんけど当時はラグしかなかったから苦労があったこと想像できる。
ワイヤーは全て内蔵工作で真鍮パイプがTOPチューブを貫き変速ワイヤはダウンチューブを通りBBシェルのすぐ内側、BBシャフトのカバーにあたる位置にアルミの筒状のワイヤガイドが入ってる。
変速比率の変えられる珍しいカンパのリヤメカが付いて丸ごとメンテに持ち込まれたのでした
お客にオッサンが
「コレ売ってくれへんか?」とマジで言ってたのはホンマ
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